一橋生が「こいつはヤベエ…」となった倫理、政治・経済の過去問ランキング!

ChatGPTに『一橋大学の入試問題「倫理、政治・経済」のイメージ画像を出力して』とお願いしました。

こんにちは。りんどばーぐです。

共通テストまであと100日を切ったということで、受験生の皆さんは第3コーナーを回り、攻勢をかけようとしているころだと思います。

一橋大学の社会は日本最高峰の難易度と言われていますが、対策は進んでいるでしょうか。その中でも代表的な科目である「倫理、政治・経済」は特にとんでもない “酷問” が出題されることがあります!これまで数多くない受験生を苦しめ続けた倫政の過去問をランキング形式で発表していこうとおもいm・・・

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https://www.hit-u.ac.jp/admission/application/pdf/R3_kamoku.pdf

・・・そうなんですよ。悲しいことに倫政とビジネス基礎は2021年を最後に廃止されてしまいました。

もうこんな記事を書いても受験生を救えないんです・・・・・・・・・・・・・・

・・・そう思っていた時期が私にもありました。

実は!一橋の倫政は世界史や日本史とつながる部分が多いんです!!!


さらに、入学後の授業はほとんど倫政の内容に関わっていますから、受験生は倫政を勉強していて損はないのです!!!

というわけで!改めて一橋生が「こいつはヤベエ…」となった倫理・政治経済の過去問をランキング形式で発表していこうと思います!

なお、ヒトツマミの記事の中で屈指の人気を誇る世界史と日本史の過去問ランキングは、1年生にアンケートを取ったうえで作られていますが、倫政なんてやっている人そうそういませんし、何よりもう廃止されていますから、筆者・りんどばーぐが過去問を一通り見て独断で評価したものとなっています!

※問題は一橋大学の定める手続きに従って掲載しています。

【りんどばーぐのプロフィール】
商学部・2年・日本史選択(2023年入学のため受けた時にはもう倫政は無かった)
早稲田大学の2学部に「政治経済」選択で合格

【評価した過去問の年度】
2021~2015、2012、2010~2008、2006~2005、2003~1995
マイナー科目すぎて飛び飛びでしか入手できませんでした。

3位

コンテンツ

2009年第1問 「カントと人間・人間の自由

問2
文中で論じられている「欲望」「必然」「自由意思」「道徳的選択」「義務」・・・といった問題群と正面から向き合い独自の自由論を展開した哲学者をルソー以外から1人取り上げ,その哲学者が人間と人間の自由をどのように考えたかを説明しなさい。(200字以内)

う~ん、「自由意思」、「道徳」あたりのキーワードからカントが連想されますかね。
1990年代までさかのぼってみた感じ、ほとんどの年度で問題構成は第1問「倫理」第2問「政治」第3問「経済」となっています。このうち「倫理」はほぼ西洋思想しか出ません。その中でもカントやルソーは本当に頻出でした!!!
いやしかし、「人間と人間の自由をどのように考えたか」ですよ。いろんな要素が考えられ、回答には苦労するでしょう。

2015年第3問 「失われた10年、人口ピラミッドと離婚率減少の原因」

問2
「失われた10年」とは何か。(180字以内)
問3
2002年以降の離婚率減少の要因について,日本の人口動態を考えながら議論しなさい。その要因は,公的年金制度や公的医療・介護保険制度の財政を大きく変動させる要因でもある。なお,離婚率の定義は,人口千人あたりの1年間の離婚件数である。(200字以内)

(図 日本の人口ピラミッド)

まず、問2の1行問題もなかなかに回答しごたえがありそうです。有名な「tan1°は有理数か」みたいな雰囲気があります。
問3、離婚率と人口を絡める点で新しさのある出題です。2文目から少子化に言及することは必要条件のようですが相当な思考力が求められるのではないでしょうか。

2002年第2問 「池田小事件の報道と憲法の基本権保障」

(池田小事件の取材・報道の様子を特集した記事の一部を引用)


ここには,憲法の基本権保障にかかわる重要な問題が投げかけられている。その問題について,論点を明確にして考えるところを述べなさい。(400字以内)

「考えるところを述べなさい。」

のエグさ。。。これでこそ一橋社会といえるような一問。報道の自由やプライバシーの権利、肖像権など多様な論点が考えられますが、それぞれについて強い主張を展開することが求められるでしょう。完答はかなり厳しいものと思われます。

2位

2018年第3問 「貸借対照表と損益計算書から企業行動を論じる」

(図 日本の非金融法人企業総合の貸借対照表と損益計算書主要項目(2006年~2012年で1年おき))

問1
非金融法人企業の内部留保の大きさの指標として,貸借対照表の「純資産」の部における「利益剰余金」に注目されることが多い。表1の貸借対照表を見て,内部留保(利益剰余金)の増加の背景にあると考えられる非金融法人企業の行動について説明しなさい。(250字以内)
問2
表2の損益計算書における当期純利益の配分,および,付加価値額の構成に注目して,非金融法人企業の利益配分について論じなさい。(150字以内)

はい、明らかに

高校範囲外ですよね。

みなさん教科書や参考書に「貸借対照表」って書いてありましたか?日本史・世界史(地理は知らん)同様に、倫政も余裕で範囲外のこと聞いてくるんですよ。
まずこの2つの表を見たとき、共通テストの常用対数表かと思いました。

イメージ

一橋商学部の基礎科目「簿記システム」を履修して初めて回答が可能になるのではないでしょうか。
これを高校生に回答させるのはあまりにも酷だと思う一方、近年の内部留保に関する誤った言説に惑わされないような学生を入学させたいという強い意図を感じるのは筆者だけでしょうか?

2017年第3問 「国民経済計算およびその国際基準」

問1
「GDP」とは何か。概念を簡単に説明しなさい(50字以内)

問3
国民経済計算次回基準改定に関する研究会の資料『2008SNAについて』(筆者:出典略)によると,カナダにおいて1993SNAから2008SNAに移行したところ,GDPが2.4%~2.6%ほど上方改定された。主因は研究開発投資をGDPに計上したことである。なぜ,国民経済計算は各国が各国の方法で作らず,このような「国民経済計算の国際基準」で作成するのだろうか。またJSNAが2008SNA基準に対応することは,何を意味するだろうか。あなたの考えを論理的に述べなさい(200字以内)

あまりに受験生がかわいそうです。

問1「GDPとは何か」は斬新で「これでこそ一橋」となるような本質を問う問題ですが、一応回答できなくはないレベルだと思います。これは良問。しかしここで受験生を安心させといての問3ですよ。

問題文の前に「SNA」や「国民経済計算」についての説明があるのですが、それでも何を聞いているのか理解不能はっきり言って悪問だと思います。

東進ハイスクールの講評では「無批判に計算方法を暗記していた受験生には意表を突く問題だった」とされ、しっかり「難」判定を受けています。

2021年第2問 「核兵器禁止条約と日本の防衛政策」

(ノーベル平和賞の受賞演説から抜粋した引用文)

問1
(A)に当てはまる組織の名称と,このノーベル平和賞受賞の契機となった出来事を書きなさい。その上で,この出来事の背景とその重要性について,過去の核兵器に関わる国際合意に言及しつつ,述べなさい。(200字)
問2
下線部の記述に関わる日本のジレンマについて,その具体的な政策に言及しつつ,説明しなさい。(200字)
(筆者注:下線部=「唯一の理性的な行動は,突発的なかんしゃくによって,私たちが互いに破壊されてしまうような状況で生きることをやめることです。」『朝日新聞デジタル』12月10日ウェブサイトより)

一橋倫政最後の出題である2021年度の問題がここにランクインしました!

ノーベル賞に関連した本問は時事の要素がありややトリッキーです。問1の複数の条約を対比させながらの記述、特に「重要性」については求められている回答を作れるか厳しいところではないでしょうか。問2は「核の傘」等のキーワードを盛り込みつつ、核兵器禁止条約に参加しないことの矛盾点を指摘する方向性でしょうか。

いやあ、難です。

この年の問題については、というか色んな年度の問題についてこちらのブログ記事でひじょ~~に詳しく説明されています!!
https://hit-rinsei.hatenablog.com/

1位

1998年第1問 『「人間の学」と様々な思想』

問3
下線部(c)を代表する倫理思想(学派)を二つ挙げ,両者の相違を強調しつつ,それぞれの特徴を述べなさい(100字以内)
(下線部(c):「来たるべき(前)三世紀の世界人(コスモポリテース)の立場」)
問4
下線部(d)にある「概念」や「普遍者」を,空欄xの人物は何と呼んだか。それを記したうえで,その内容を具体的な例に即して説明しなさい。(150字以内)
(下線部(d):「概念の認識、普遍者の認識」)(引用部:和辻哲郎「人間の学としての倫理学」)

まずこの問題にどのような見出しをつけるか非常に悩みました。とらえどころがなく、回答の方針が立てられない気がします。古代思想ということでまずなじみが薄いです。それでいて文章は和辻哲郎の一部文語調の長文。いや~「概念」とかふわっとしたことを聞いてくるタイプの問題は見た瞬間受験生はページをめくったことでしょう。筆者、恥ずかしながら空欄xの人物すら分かりません。回答を見ようにも見つかりません、古すぎて。この記事を読んでいる一橋大学社会学部のみなさん、ぜひ問題探して解いてみてください!!!!!!!!

2021年第1問 「ベルクソンによる開いた社会と民主主義の唯一性」

問1
下線部②「開いた社会」とはいかなる社会か。文中にある「閉じた社会」と対照させて説明しなさい。(200字以内)
問2
下線部①にあるとおり,ベルクソンによれば,民主主義は「閉じた社会」を超越し「開いた社会」へと唯一向かう特殊な社会体制である。この唯一性の理由と志向の原動力を,以下の語をすべて用いて説明しなさい。(200字以内)
自由,平等,同胞愛,普遍的人権,創造的進化、エラン・ヴィタール(エラン・ダムールも可)

ベルクソンねえ。。。あんまりマークしないような人物を持ってきたなあという印象です。最終年2021年の問題が再びランクインです!!受験生を苦しめ有終の美?を飾って歴史を終えることができたといえるでしょう。問題も概念的・抽象的で、これだと確信をもって答案を作成するのはまあ至難の業です。

今まで見てきた感じ、一橋の倫政、特に倫理分野はもう国語ですね、国語。意味の分からない文章を読んで意味の分かるように書き直す、いわば校正作業を任せられているのだと思いました。

前問に続いてもう1度言います。この記事を読んでいる一橋大学社会学部のみなさん、ぜひ問題探して解いてみてください!!!!!!!!

【総括】

いかがでしたでしょうか。「こいつはヤベエ…」と思った問題は1998年第1問と2021年第1問という結果になりました!!!一橋の倫政は地歴に劣らず難問ぞろいだったということがお分かりいただけたかと思います。倫理分野は社会契約説を中心とした西洋思想が中心。政治分野はまんべんなくですが、国際安全保障や憲法、選挙制度についての出題が多い傾向にあります。経済分野は躊躇なく出題される高校範囲外の学習、図表の読み取りがポイントになります!これから2次試験に向けて対策を強化していきましょう!!!

そういえば廃止されたんでしたね。

受験生の皆さん、地歴を頑張ってください。国立でお待ちしています。

世界史のランキングはこちら☞http://hit-tsumami.com/?p=8909&preview=true

日本史のランキングはこちら☞https://hit-tsumami.com/2021/02/12/%e4%b8%80%e6%a9%8b%e7%94%9f%e3%81%8c%e3%80%8c%e3%81%93%e3%81%84%e3%81%a4%e3%81%af%e3%83%a4%e3%83%99%e3%82%a8%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%aa%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8f%b2%e3%81%ae/

【おまけ】

筆者には思うところがあるんですよ。この倫政とビジネス基礎が2021年を最後に廃止されたことについて。早稲田大学など、数多くの大学で受験科目で政治経済(公民科目)が廃止される傾向にあります。その主な理由は「選択者数が少ないこと」だと考えられます。(ほかの理由もたくさんあるでしょう。)事実、筆者の高校で受験科目として政治経済を選択した人は知る限りいませんし、一橋大学でも聞いたこともありません。私は高校2年のときの模試では記述模試の「政治経済」で全国8位取りました。母数が200人くらいしかいなかったからです。
高校の授業においても、何となく公民科目は地歴科目と比べて重要性を低く捉えられていたように思います。みなさんの高校もひょっとしたらそうなのではないでしょうか。

「高校でも重要度が低く、受験生があまり選択しないなら廃止しちゃおうか!」
それはアカデミアの正しいありかただとは私には思えません。こと社会科学の雄と評される(筆者が勝手に評している)一橋大学において、公民科目を得意とする受験生を排除するような措置は果たしてふさわしいことでしょうか?一橋大学には産業を興せるような人材を育成する使命があるのではないでしょうか?「ビジネス基礎」などというユニークな科目も存在しましたが、廃止によって大学の独自性がちょっとだけ失われたように思えます。

時代は多様性保全の潮流です。この間も大学メールで「一橋大学ダイバーシティ・エクィティ&インクルージョン推進宣言」の取り組みについてお知らせが来ました。公民選択者という”マイノリティ”を大学は排除するべきではありません。大学が入試科目から除外することで、さらに高校教育での重要性が低下することは容易に想像ができます。

一橋大学には上質な公民科目の入試問題を作成できるような教授は豊富に在籍しているはずです。彼らは暇になってしまうじゃありませんか!

ぜひとも一橋大学には「再考」していただきたいものです。