留学での学び、5年生をやったからこそ見えたもの。
こんにちは、蛮勇亭にゅーとんです。
短期連載「私のバシライフ 〜卒業を前に今思うこと〜」第2弾の後編です。
ドイツ、アメリカそれぞれの国に留学したお2人が留学中の発見、5年間大学生をやることについて、また海外で◯◯に間違えられた話など、盛りだくさんの内容でお届けします。
まだ前編読んでないよ!って方はこちらも合わせてお楽しみください!
対談者基本データ(おさらい) |
安藤さん:商学部の5年生。サークルはAIESECという学生の海外インターンシップを運営する団体に所属していた。留学先はドイツのオスナブリュック大学で、経営学や心理学を学ぶ。ドイツで歯医者に行った時に、ドイツ語だったため何を言われているのかわからないまま適当に返事してたら、歯に穴開けられたことあり。
鎌田さん:経済学部の5年生。サークルはALSAという法学系ディスカッションをするところに所属していた。留学先はアメリカのペンシルヴァニア大学で、経済学と社会学を学ぶ。ちなみに弟は他大のアメフト部で、身長はほぼ一緒なのに体重が35キロ違う。兄、脅威を感じている。
↑「もう一度大学生活を過ごすとしたら?」というお題に対してのお二人。しっかりおちゃらけてくれました(笑)
(左:安藤さん、右:鎌田さん。以下敬称略)
もくじ |
・日本と海外の学生比較
・国籍観の変化
・留学を通した一番の成長
・5年生をやることについて
・ゆるーいネタ話(笑)
–日本の学生と現地の学生の違いについて感じたことを教えてください。
鎌田「まずギャップがすごいことかな。学生はみんなジムに行ってたんだけど、プロレスラーみたいな体型で“お前さっきあそこで100キロくらいあげてたよね?”みたいな奴がそのあと眼鏡かけて図書館ですごい難しそうな本読んでたり。遊び方が尋常じゃなくて全てをぶちまけるくらいの飲み方をするのに、その数時間後には授業出てたり。」
安藤「俺は、みんな“遊ぶときはひたすら遊ぶ”みたいな心の余裕があるなって思った。たとえば日本でもテスト終わった日にはみんな結構遊ぶじゃん?でもオスナブリュックの学生は普通の日の授業後に大学の中庭でBBQしたり、寝転びながらビール飲んだりしてて、時間の使い方がうまいなぁって感じたわ〜。」
鎌田「そこは結構ドイツとペンシルヴァニアの違いかも。Penn Faceっていう言葉があって、“どうってことないよ、こんくらいのストレス。ストレスとか感じないよ”っていうすかした顔のことを指してるのね。
で、ペンシルヴァニアの生徒はみんなこの顔を持ってるって言われてて。お金もすごいかかってる中で4年間競争してるから半端ないストレスをみんな感じてるけど、彼らはPenn Faceをつけて勉強してて、心の余裕は装ってはいたけど中で抱えているものはやばいなって思った。」
–留学を通した大きな気づきは何でしたか?
安藤「相手を国籍で判断する危うさを感じたな。“ドイツ人はビールが好きで、スペイン人は陽気”みたいなイメージあるじゃん?もちろんそういうのに当てはまる人もいたけど、正反対の人もいて。
だから“日本人だから・スペイン人だから”みたいな視点を持って相手に接していくのは危ないな、っていう認識を持てたことは大きかったな。俺は“日本人=時間に正確”っていうイメージをドイツでぶち壊してきてあげたよ、今日も遅刻したし(笑)」
※安藤さん、インタビュー当日に少々遅れてやってきました(笑)
鎌田「国籍に関して言うと、留学したての頃にアジア系の顔の人に“何人?”って聞いたら“アメリカ人”って言われて。で、“オリジンはどこなの?”って聞いたらすごいびっくりした顔をされて。“アメリカ人にオリジン聞くことってあんまりないの?”って聞いたら“ないことはないけどそこまで聞かれたのは初めて”って言われた。
アメリカにいる人って自分の国籍をあんまり意識しないし、向こうも俺のことを日本人としてそれほど見てこないんだな、って気づいた。だから国籍を通して人を見る前に“君はどんな人なの?”って見ないといけないって考え直した。」
–留学を通して自分の一番変わったと思うところはどこですか?
鎌田「自分と違う意見への接し方かな。意見がぶつかるときってまさか自分が間違ってると思って主張している人はいなくて。そこで建設的な議論をするには自分の意見が正しいと思うのと同じくらい相手も正しいと思ってるっていうのを理解することが必要だと思う。“自分にはこういう根拠があってこういう主張をしてるけど、相手もきっとちゃんとした根拠があるんだろうな”って。
違う意見に触れるっていうのは自分のキャパシティーを広げる機会だと思ってて、それを積み重ねていくと視野が広くなって自分の考えが変わると思うな〜。」
–それは授業のディスカッションを通してのことですか?
鎌田「さっき言ったGlobal Justiceとかはまさにこういうディスカッションをする授業だったんだけど、授業以外の日常生活でも感じたな。例えば、意見の対立ってほどじゃないんだけど、お酒飲んでるときに宿題あるから帰ろうとしたら、“え、いつ提出なの?”って聞かれて、“明日の17時”って言ったら、“明日授業ないんだし、今日このまま飲んで、明日酔いを覚ましてからやった方がよくね?”って言われて。
俺は“宿題あるから帰る!”って固定概念があったけど、そうじゃない考え方もあるんだな、って思ってそのまま飲み続けた。結局宿題間に合わなかったんだけどね(笑)」
安藤「俺は自分に弱いところがあるんだなっていうのを学んだな。人との関係性の構築の仕方とか、日本で暮らした中で気づかなかったことに、10か月ドイツにいたことで気づけたのは自分の中で大きいかな。
そういう弱さに直面したときに自分を俯瞰的に見て、“じゃあどうしたらいいんやろう”って考えて。答えは出なくても、そういう風に考えられるようになった。」
鎌田「そういう風に考えられるようになったからかわかんないけど、安藤ってあんまり人に苦労を見せないよね。ボスキャリ(ボストンキャリアフォーラム:ボストンで行われる留学中の学生向けの就活イベント。説明会だけでなく、ここで内定を得られることも。)のときも平然としてたし。」
安藤「いや、あのときはめっちゃ大変だったよ!虫歯だったの(笑) ドイツの空港出るときに痛み出して、バファリンを1日4錠くらい飲んでた……。でも、できるだけ“しんどい・大変・つらい・忙しい”とかは言わないようにしてるかな。
基本的にAIESECやってるときも人から何か頼まれるのがすごい好きで。そこで苦労を見せてしまうとそれ以降頼られなくなるというか……“安藤に頼んでもいいけどあいつどうせ忙しいしな”って思われるから、そういうのは言わないように意識はしてる。」
↑お題のフリップを前にわいわい悩むお2人(笑)
–大学生活を5年間やろうと思ったのはなぜですか?
※次回対談者のお2人も留学をされていて、そのお2人は4年生で卒業されるので、4年か5年か迷われている方は3月中旬公開予定のこちらの連載第3弾もぜひ参考になさってみてください。
安藤「5年目を過ごそうと思ったのは、意図したというよりはそうなってた。寮の留学行ってた先輩を見てたから5年目をやることの抵抗が少なくて。」
鎌田「俺も。もう抵抗ゼロだった(笑) 友達が先に卒業しちゃうくらいだよね、寂しさは。」
安藤「そうそう、去年の卒業式行けなかったのは寂しかったな。でもそれだけかな。」
鎌田「あと卒業旅行一緒にいけなかったのは寂しかったな。でも留学するって決めた時点でイコール5年って思ってたんだよね。たぶん3年生で留学してても俺は5年間やってたな。
自分はのんびりタイプで色んなことが人より時間がかかる気はするから、5年過ごしたことはすごいよかった。5年目でやっと人並みに将来のこととかを考える時間を得られたと思う。
みんな普通3年生終了時点で就活するわけじゃん?で、俺はその時期はまだ日本にいたから同じ時期にプレ就活をしたの。でもそのときに “やばい俺何やりたいのか全然わかんねえ”って思って。留学中に将来何やりたいかを決められたんだけど、そういった意味では自分には5年目は必要だった。」
安藤「5年目は“今までのまとめ”という貴重な期間になったと思う。留学中に暇だったから色々考えて、“自分の考えがようやくまとまったな”っていう感覚はすごいよかった。」
鎌田「将来やりたいことが決まってるっていう感覚はいいよね。俺らはボスキャリで初めて会ったんだけど、あの時点では二人ともやりたいこととか業界はなんとなく絞れてたよね。」
–将来の考えがまとまった、っていうのは時間的な効果と留学した効果の両方によるものですか?
鎌田「両方だね。ペンシルヴァニアの人は、コンサル・投資銀行志望が圧倒的に多くて。“そこに行かなきゃ負け組”みたいな考えがあったのね。でも彼らが勉強しているのを見て“俺はまた違う仕事ができたらなー”って思った。」
安藤「その点に関してオスナブリュックは真逆で、コンサルとか行く人全然おらんかった。“先生が一番いい”って言う友達がいて、日本だと忙しいしきついイメージだから理由を聞いたら、“自由な時間が多いじゃん、家族との時間も大事にできるし。それに、生徒の出来が悪くてもそれは生徒の問題じゃん?先生は何も悪くないでしょ?”って言われた。
そういう考えに触れることで将来の仕事の選択肢が広がって、考え方は柔軟になったかな。」
–留学から帰ってきて5年目の夏から今までってどんなことをされていたんですか?
安藤「本当に暇だったよね(笑)」
鎌田「やらないといけないことがほぼない特殊な期間だったよね。俺の場合は5月頭に帰国して、6月には就活終わってたし。一番大きかったのは、友達がみんな働いてるから周りに人がいないってこと。」
安藤「本当にいないよね……(笑)」
鎌田「でも逆に、今まで会ってなかった人とはすごい会うようになったかな、小中高の友達とか。大学の人はみんなだいたい足並み揃えて卒業するけど、小中高だと留年・留学・そのまま就職とか、色んな人がいるから彼らと必然的に時間が合うようになって、会うようになったな。」
安藤「地元で仲良かった奴らが東京に就職してきて、向こうは忙しいけどこっちは暇やから時間合わせて会ったりしたな。」
鎌田「周りを見ていい目標になったな、“おし、自分も頑張るぞ”って感じで。だから4月からは楽しみだし、5年目もやったおかげで“遊びたい”ってのはもうないかな(笑)」
安藤「そうそう、もういいよね(笑) 多分5年目やらなかったら“もうちょっと色々やりたいな”って思ったまま社会人になってたから、“もういい”って思えるまでになったのはよかったと思う。」
鎌田「あとは、やりたいと思ったことはそのままやるようになったかな。留学終わるまではやりたいことがあってもめんどくさがってやらないことが多かったけど、この暇な時期にめんどくさがってたら一生何もできないと思って。
一眼レフ買うとか、カフェ巡りするとか、柄でもないことをしたかな。」
※このあとバンジージャンプをやってみたい鎌田さんが安藤さんを誘い続けること5分弱。バンジージャンプやってみたい方はぜひ鎌田さんにご一報を!(笑)
ここまで話して急に不安になるお2人。
鎌田「ねぇ、こんなんでアクセス数稼げる?」
安藤「なんか……面白くないよね(笑)」
ということで留学中のぶっちゃけコーナー!!
……と行きたかったところですが、出て来る話は全てお酒関連……(笑)
飲酒を推奨しているように受け取られて国◯課に睨まれたくないので、お2人のほほんとしたエピソードで締めくくりたいと思います(笑)
安藤「俺こういう(日本人ぽくない)顔やん?で、留学中に普通に授業が終わって教室を出ようとしたらヒジャブをつけた女の子が話しかけてきてくれたのね。でも何言ってるかわかんなくて、英語じゃないことはわかったんだけどすごい流暢な感じで話しかけられて。もう一回聞いてみたらインドネシア語で……(笑)
もう“インドネシア人ですか?”とかいうノリじゃなくて、完全に仲間意識を持たれたみたいで、すごい申し訳なくなった、“インドネシア語しゃべれなくてごめんね”って。日本だけでいじられるネタじゃなくて、現地人にも認められた俺の顔(笑)」
鎌田「それと似たような話俺もあるんだけど……留学中じゃなくて最近の話で。会社の内定式が去年の10月にあって、その途中で留学生たちと一緒に別室に呼ばれたの。“なんだろな〜?”と思いながら別室に入ったらなんかパンフレットを渡されて、よく見たら“日本のビジネスマナーノウハウ本”って書いてあって……(笑)
俺高校がシンガポールだから“こいつあかんな”って思われたみたいで。だからものすごい丁寧で正しい日本語でビジネスマナーあるとこを見せつつお断りした(笑)」
安藤「そこで“これいらないっす”とか言ったらめっちゃ面白かったけどね(笑)」
鎌田「ねぇほんとにこんな話で大丈夫〜???」
安藤「やばいな〜面白くね〜〜(笑)」
いかがでしたか?
ひたすら記事の出来を心配してくださる優しいお2人でした!
“留学行ってるからって意識高いって勘違いするのはダメだからね!!俺ら表参道コンプレックス(表参道がおしゃれすぎて歩けない)持ってるどうしようもない奴らだから!!”とのことです(笑)
計4時間ほど(!)お話させていただきましたが、笑いの絶えないめちゃくちゃ楽しい取材でした。
留学予定の方、なんとなく興味のある方、今回の記事を読んで何か参考になれば嬉しいです。
次回はアメリカ大使館や移住労働者支援のNGO法人など、様々な学外団体で活動された2人の方へのインタビューをお届けします。お楽しみに!
以上、蛮勇亭にゅーとんでした。