こんなにも奥が深くて面白い! 現存する世界最古の演劇、体験してみませんか?
どうもです。りんです。
新歓難民WANTED、早くも五回目となりました。今回取材したのは、能楽サークルの観世会です。
能って詳しくは知らないな……、音楽の教科書に書いてあったくらい……などなど、能について詳しく知らない方、多いんじゃないでしょうか。
しかし、能の世界はとても奥が深くて面白いのです。
インタビューに入る前に、能について軽くおさらいしておきましょう。
このように非常に歴史がある能を、大学生が実際に演じるという観世会。その魅力に迫ります。
――早速質問に入りたいと思います。活動場所は主に部室なのですか?
「普段、部室はあまり使っていないですね。稽古には基本的に二種類あって、一つは師匠稽古といって、二人いる先生のどちらかに教えてもらう、というものです。大体月5日くらいあって、そのときは近くの能舞台で練習しています。」
――能舞台が結構近くにあるのですね。
「国立の北口から歩いて少しの所にあるのでそこを使わせていただいているのと、あとは師匠の家に能舞台があるので、そこに行って練習しています。」
「もう一つの稽古は部室でやるもので、学生だけの稽古、自主練のようなものを月4回程度行っています。」
――とても本格的ですね。今年一年生は何人くらい入りましたか?
「実はまだ入っていないんです。」
「強引な新歓を一切しなかったら、結果このような形に……」
――では、全体の部員数は?
「1年生が2人、3年生が1人、4年生が2人で全部で5人です。男女比は今は3:2ですが年度によって結構ばらつきがあります。あまり大きな団体ではないですね。」
――なるほど。全員一橋生ですか?
「はい。でも大学は結構自由ですよ。今年も津田塾の人が見に来てくれましたし、過去には電通大学の人が所属していたこともありました。」
――ありがとうございます。次に、サークルの雰囲気を教えてください。
「そうですね……とりあえずみんな個性が強いです。少人数なんで、アットホームな雰囲気です。なんだろう、一言じゃ言えない……」
「一人一人自己主張が強いです。自分の意見が通らないこともありますけど、少人数だから言いたいことも言える、といった感じです。結構マイペースですかね。」
――個性豊かな団体なのですね。お二人はどういった経緯で観世会に入ったのですか? きっかけや動機はありますか?
「もともと日本舞踊に凄く憧れがあったんですけど、一橋に日本舞踊のサークルって無いじゃないですか。それまで能には全然興味が無くて、一度見たことがあるくらいだったんですけど、日本舞踊に近いかなって思って能のサークルに入りました。奥が深そうでしたし。」
「私に至っては能を見たことすらなくて、能ってなんぞや、みたいな感じで入りました(笑)。能自体には全然興味が無かったんですけど、たまたま知り合いがこの団体に所属してて、その話を聞いて見学に来たら、面白そうだなって思って。だからそれからですね、能が何かっていうのを知ったのは。」
――では、皆さん初心者として入部されたんですね。
「はい。舞台に上がるときは着物を着るんですけど、その着方もわかりませんでした。」
――着物は自分で買うのですか?
「持っている人もいますが、基本的にみんな持っていないので部室にあるものを使っています。後ろの棚にあるのは全部着物ですね。あとは、この間先生から譲り受けたものもあります。」
――着物を買いそろえなければいけない、ということは無いのですね。
「そうですね。私は欲しかったので買いましたけど。でもちゃんとしたものを買うと高いので、みんなでリサイクルショップに行く会を企画して、浅草に遊びに行って買っています。」
「結構安くてかわいいものが買えますよ。」
(後日その際の写真をいただきました。)
――能の楽器も部で揃えているのですか?
「そうですね。太鼓とか鼓とか、すべて部で揃えています。買ったら大変な額になるので。」
――能の発表の場はあるのですか?
「結構ありますよ。観世会で一番のイベントは、年に一回、11~12月のほぼ丸一日を使って兼松講堂で行う上演会です。本当に大がかりな上映会で、一年かけてその舞台に向けて練習する、という感じですね。本格的な練習はだいたい夏休み明けくらいからですが、一年前から次の年に何をやるかは決めています。」
「そのほかには、七月に五校会っていう東京の五大学が集まって上演しあう交流会があります。ゴールデンウィークの時も上演会があったり、大体月一くらいでありますね。」
「どこの能楽サークルも人数が少ないので、いろんな大学の方が集まって舞台をすることが多いですね。」
――結構どの大学にも能楽サークルはあるのですか?
「大抵ありますよ。五大学っていうのは、東大、日本女子大、法政、早稲田、一橋です。」
――新入生は入部してからどれくらいで舞台で踊れるようになりますか?
「兼松講堂での上演会では1,2時間の能をやりますが、基本的に学生がするのは仕舞という形式のもので、能の本の中のハイライト部分、一番の見どころだけを短くやります。一つの仕舞は大体3~4分なので、立ち振る舞いから初めて、状況にもよりますが1~2ヶ月くらいで舞台に出ています。大体その間隔で舞台が続いていくので。」
――一年生でも舞台で演じることができるのですね。先程から話に上がっている「師匠」というのは、どういった方なのですか? 一橋のOBの方ですか?
「そう、実は二人ともOBなんです。一人は津村禮次郎先生という方で、もともと一橋に入ってから観世会に所属して能をやり始め、その後プロに仕えて、プロになってしまった方です。今では、重要無形文化財にも登録されているんですよ。」
「もう一人は中所宜夫先生という方で、観世会に入って、津村先生のもとで手ほどきを受けた方です。最初はボート部と兼部していたらしいんですが、能楽師になりたいからボート部をやめて、能のプロになったとおっしゃっていました。お2人とも、大学から初めてプロになった方々です。」
――すごいですね。そのような方が一橋のOBにいるなんて知りませんでした。素晴らしい先生のもとで学べる環境がそろっているのですね。観世会はかなり歴史のあるサークルなのですか?
「はい。もう初期の方たちは70歳を超えています。でもその方たちとも、今でも交流会が年に3回あります。その時は、能の中でも謡っていう、本を朗読する、みたいなものをやっています。謡だと、年を重ねてもやりやすいので。」
――ありがとうございます。ここで、お二人にとっての能の魅力を教えてください。
「能だと普通に生きていたらできないような、いろんな役が出来るんですよ。男の人の役とか、おじいちゃん、おばあちゃんの役とか、人間じゃなくて鬼とか天狗とか神とか。いろんなものを演じられるのが能の魅力だと思います。」
「伝統芸能の1つなので、能っていうものを知っておけて良かったなっていう場面は結構あります。能を知れたことで、歌舞伎も見てみたいな、和って何だろう、というように日本文化について考えるようになり、そうなると今度は世界にも目が向いていきますし、自分の視野が広がったと感じます。大学で勉強しかしていなかったら絶対得られないような、ものの見方や考え方が身に付いたと思います。」
「能はただ伝統の世界というだけではなくて、現代文化とも融合させようとしているんです。これは今度やるドキュメンタリー映画なんですけど、私たちの先生についての映画で、コンテンポラリーダンスと能のコラボ作品等も出てきます。」
「先生が世の中の動きにも強い関心を持っていらっしゃる方なので、普段の会話の中でも勉強になります。私たちの生きている現代文化の世界と伝統の世界が、分かれているのではなくて、繋がっているんだなって感じられました。」
――能の奥の深さが、ほんの少しですが分かったような気がします。最後に、まだサークルを探している新歓難民の人たちに一言お願いします。
「気軽に来てください。入ってみたら、とても気軽な団体だったので。」
「強引な加入は一切しないので、一回見に来てください。最初は全く興味がなくても、見学に来たら意外と面白そうだな、って感じて入る人が多いので、一度見学に来ていただけると面白さが伝わると思います。言葉では伝わりにくい部分もあるので。」
――本日はインタビューありがとうございました。
「ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
いかがでしたでしょうか。
私が言うのも難ですが、能、かっこいいですよね。(実は私、伝統文化大好きなんです。)
能を知ることができる、というだけでも人生が豊かになるのではないでしょうか。
少しでも気になった方は、一度メール(hit_kanze@hotmail.co.jp)やTwitter(@hit_kanze)で連絡を!
「基本的には火曜の5限後や水曜の4限後に部室で練習していますが、部室が開いていないこともあるので、一度メール等で連絡をください。また、日曜には鑑賞会を行っていたり、舞台に演じる会があったりするので、そこに一緒に行くことも可能です。」とのことです。
以上、観世会インタビューでした!
新歓難民WANTED、次回も近日公開予定です! お楽しみに!