撤回か 受け続けるか 決められない
三週目などに 設定するなよ
みなさん、こんにちは。ライターのぜんざいです。
人生ではじめて歌(これを歌と言っていいのか)を詠んだような気がします。「ちはやふる」は大好きなのですが、高校の古典の百人一首暗記テストは苦手だったなあ。歌の意味を理解せずに音とリズムで乗り切ろうとする愚か者でした。
ところで、上の歌は何を詠んでいる歌でしょう?と聞かなくても一橋生のみなさんはわかりますよね。そうです、履修撤回期間のことです。
履修撤回期間ってだいたい学期始まって3週目に設定されてますが、ちょっと早すぎやしません?「春学期2単位」「夏学期2単位」とかの授業であれば週2コマあるわけだから5~6回は受けられるけど、「春夏学期2単位」の授業だと3回受けて撤回期間を迎えるわけですね。しかも1週目はガイダンスって授業も多いから、実質2回の授業で撤回するか否かを決めなければいけないわけですよ。
ちなみに履修撤回する理由は人それぞれですが、やっぱり「私が学びたいこととは違った」とか「この授業は難しすぎる」とか「ちょっと課題多すぎるわ」とかそういった理由が多いんじゃないかと思います。人間はラクをしたがる生き物で、学生もついラクな授業を履修したがります。私はその最たるものです。(まあでも撤回しようとしなかろうと、最終的に履修した44単位分の授業でしっかり学べばいいわけですもんね。そもそも「ラク」とか「難しい」の基準も人それぞれですし、たとえ「ラクな授業」と「難しい授業」があったとしても、二つの間に受講する価値の差なんてありません。)
で、話を戻すと、私みたいなふまじめな学生は履修撤回期間で撤回するべき授業を見極めたいわけで「この授業、期待よりもまったく面白くないけど今後面白くなってくるのか…?」とか「この時点でこんなに課題が出るってことはこの後地獄か…?」とか「これはシラバス詐欺っぽいな…?」とかいろいろ考えます。頭の中は真っ黒です。担当教員に合わせる顔がありません(いまはほとんどオンデマンドだけど)。しかし先ほども説明したように、いかんせんたった2回の授業では判断がつかないわけです。今後面白くなる授業は間違っても撤回なんかせずに受け続けたいし。ぜいたくを言えば半分くらい(7回くらい)まで受けてから考えたい。撤回期間ちょっと早すぎ問題。
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「-」について懐古する
おじさん(私)はここでちょっと昔を懐かしんでみたくなります。一、二年生のみなさんは学士課程ガイドブック(春に配られるぶ厚いやつ)にあるこの一文を気になったことはありますか。
「-(不受験)」とはなんぞやと。ちなみに読み方は「バー」。日常会話では「バーにする」「バーを使う」のように使います。これはハイフンなのか伸ばし棒なのか教務課に聞きたいところ。ちなみに私のパソコンでは「バー」と打っても変換されません。
2017年度から2019年度まで3年間実装された成績評価のシステムの一つです。この「-」の廃止と同時に(2020年度から)履修撤回制度が導入されたんですね。
現在、成績評価基準は「A+」「A」「B」「C」「F」の5段階ですが、それに加えて「-」があったわけです。この「-」、いま考えるとなかなか意味のわからないシステムです。
まず「-」の効果(?)から。簡単に説明すると「単位は来ないがF評価ではなくGPAに加算されない」ものです。つまり実質「落単」なわけですが、F評価はつかずGPAが増えも減りもしません。落単したけど無傷、みたいな感じ。効果は履修撤回とほとんど同じです。
次に「-」はどうやって使うの?って話です。担当教員にF評価ではなく「-」をつけてもらう方法ですが、履修撤回のような手続きは必要ありません。期末試験欠席もしくは期末レポート未提出すればよいのです。途中までどんなに授業に出席していても(欠席していても)、どんなに毎回の課題をきちんと出していても(出さなくても)関係ありません。最後の期末試験or期末レポートをすっぽかせば「-」がつきます。まさに「-(不受験)」。
13回全部授業に出て試験勉強をしっかりしたとしても、14回目の期末試験の日に寝坊してしまえば「-」。早々に3回目くらいから欠席し続けて、14回目の期末試験も同様に欠席すれば「-」。ちなみにF評価がつくのは期末試験に出席して赤点を取ってしまったときです。
ようするに「-」は「期末試験の日に履修撤回が可能」なシステムなんです。
「-」と履修撤回制度の長短
ここまで読むと「-」って履修撤回制度の上位互換じゃん?と思うかもしれませんが、そうでもありません。
まず一点目はCAP制への影響。履修撤回制度では春夏学期に撤回した単位分を秋冬学期に履修することができます。しかし「-」はCAP制に組み込まれてしまうので、秋冬学期に履修する授業を増やすことができません。「-」を乱用すると一年間の取得単位がどんどん減っていってしまうのです。まさに「ご利用は計画的に」。
二点目は勉強量への影響。「期末試験の日に履修撤回が可能」という「-」最大の特徴には弊害もあります。想像することは難しくありません。そうです。ふまじめな学生は勉強しなくなるんです。最終的に間に合いそうになければ「-」にしちゃえばいいので、試験勉強や定期的な復習はどんどん後回しになります。これがよくない、ほんとによくない(いろいろと思い出してきた)。履修撤回制度は勉強しなければF評価になるだけなので嫌でも勉強しますよね。
一方、「-」にはもちろん良い点もあります。先ほどから言っているように履修撤回が実質いつでもできる点。試験日に寝坊してもF評価がつかず「-」になって被害を軽くできる点。良い成績が期待できない授業を「-」にすることで高GPAを目指せる点。
学生にとってはどちらが嬉しいシステムなんでしょうか。私は「-」のほうが良かったような気がしますが、アンケート取ったらちょうど半々くらいになりそう。実際「-」廃止の一報が伝わったとき、Twitter上では廃止を惜しむ声が多く聞かれました。でも教員側からしたら「-」のシステムは嫌だったんじゃないでしょうか。まあそりゃそうですよね。学生は授業に来なくなるし、かといってF評価はつけられないし。他の大学でも聞いたことないですもんね。「-」のシステムがわずか3年間で廃止されたのも教員にウケが悪かったのが理由なのかなあ(※ここは私の勝手な想像です)。
新たな問題も
そういえば。履修撤回制度になってからなんとなく感じたことですが、学期初めの履修の抽選倍率が高くなりましたよね。とりあえずCAP制の上限の28(14×2学期)単位分を申し込んで、仮に全部取れちゃったとしてもあとで履修撤回で数を調整しよう、授業を受けながら最後まで受けるやつを厳選していこうっていう作戦なのかな。つまりみんな気軽に抽選に申し込むようになったわけです。気になる授業があったらとりあえず申し込んどこう!みたいな。
しかしこうなると本当に履修したい人が履修できなくなっちゃう可能性があって。これはけっこう難しい問題です。そもそもこの作戦はルール的にNGなことをしてるわけではないし。たしかに気持ちはわかる、すごくわかる。うーん、難しい。。。
ここは来年度以降の改善を期待しましょう。
最後に
ここまでダラダラと書いてきましたが、現状の制度について文句を言うつもりでは決してないのです(しょっぱな「履修撤回期間早すぎ」とか言っちゃいましたが)。なにか言いたいことがあるとすれば(ないんだけど)、「全員が満足する制度設計って難しいよねえ(しみじみ)」って感じ。
この記事、ほんとは『さよなら、バー』というタイトルで「-」の廃止が発表された昨年の3月に投稿する予定でした。しかしちょうどコロナでバタバタし始めたためになかなか書けず、つい今日(2021/7/5)まで延びてしまった(圧倒的怠惰)。なのでもともとこの記事の準備はしていて、「-」の恩恵を三年間享受したHASCの2つ上の先輩(Oさん)にも当時インタビューしていたのです。せっかくですからそのインタビューをお見せして、この記事を終わりにしましょう。
Q1.バーとの出会いはいつ、何の授業ですか?
初めてバーにしたのは、一年秋冬学期の論理学です。サークル活動の時間に課題の提出期限があり、忘れることが多くて萎えてしまいました。思えばあのときにバーの快楽に目覚めてしまったのかもしれません。
Q2.いままでバーにした通算単位数は?
20単位です。
Q3. バーとの思い出深いエピソードは何かありますか?
三年秋冬学期の経済地理学をバーにしたときです。就活もあり中々授業に行けてなかったのですが、周囲の助けも借りながらなんとか勉強を進めました。テスト前夜を迎え、明日の朝頑張るぞと思い曜日を確認すると、なんと一日曜日を間違えて覚えていて、すでにテストは終わっていました(バーになっていました)。やはり授業に行かないのは良くないことですね。
Q4.今年からバーが廃止されるとのことですが、バーに対する思いを教えてください。
そうなんですね…。一年の冬に出会って以来、長く連れ添ってきた伴侶と別れるのは、寂しいですが、思えば僕はバーに甘やかされてしまっていたのかもしれません。ダメ大学生としての僕を受け入れてくれたその懐の広さに心の底から「ありがとう」といいたいですね。
Q5.後輩へのメッセージをお願いします。
バーという退路を断たれた今、授業を履修するということの重みは増してくるでしょう。不退転の覚悟を持って、大学生活を送ってください。
やっぱりバーはよくないかも。。