よく分かっていない人たち

すごい人をよりすごそうに見せるドキュメンタリー番組をよく見る。「神に愛された人間」と紹介されるたび八百万だなぁと思うわけだが、すごい人はこれまたすごい人たちと会話を繰り広げる。   「類は友を呼ぶ」とは本当らしい。彼らは視聴者には分からない次元でコミュニケーションを取っている。少なくとも僕には分からない。もしかしたら彼ら自身も分かっていないのかもしれない。 自分だけが分かっていないと思いながら、比喩に比喩を重ね、曖昧さを抽象化して、なんとかごまかしているだけなのかもしれない。相手も、自分だけが分かっていないとびくびくしながら、「もっと青っぽい音を奏でて」とか、「故郷のような香りだ」とか言っているのかもしれない。実際にはよく分かっていない人たちを、よく分かっていない番組ディレクターが、よく分かっていない視聴者に見せているだけなのかもしれない。   まぁ本当にそうなのかは、僕もよく分かっていないのだけれど。