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世界初の有声映画にチャップリン!聞いたことあるけど見たことは……?
こんにちは!はっしーです。
旅行に、遊びに、バイト。皆さん忙しい春休みを送っているでしょうか?
だけどどんなに忙しい春休みだって、どこかで暇な時間はできるもの。お昼のワイドショーを見てテキトーに時間を潰すのも悪くはないけど、少しでも意味あるものにしたいならば、僕は映画をオススメします!
今回はそんなスキマ時間にぴったりな短めの映画、しかも「名前だけは聞いたことある!」ってなるような”名作”を選んでみました。どれもコンパクトにまとまっていて見やすい。著作権切れのためYouTube等の動画サイトで探せばタダで見られる作品もありますよ!
映画史最初のセリフが聞ける「ジャズ・シンガー」 |
(http://www.impawards.com/1927/jazz_singer.htmlより)
ジャズ・シンガー(The Jazz Singer)1927年/米国/88分
あらすじ
お手軽にみられる映画と言っておいて、いきなりTSUTAYAで探しづらい作品を選んでしまいました。でも、この映画のすごいところは世界初の長編トーキー(音がある映画)であること。これ以前は俳優が声を出さないサイレント映画しかなかったのです。主人公ジェイキーが映画冒頭に発する「Wait a minute, wait a minute. You ain’t heard nothin’ yet! (「待ってくれ、お楽しみはこれからだ!)」は映画史上最初のセリフとして有名。ここから新しい映画の時代が始まったんですね。
ちなみに本作はヴァイタフォンというフィルムとレコードを同期し、同時再生させる方式を採用しています。これは調整が難しくあまり流行りませんでした。その後、フィルムに画像コマと音声トラックを併せたサウンドトラック方式が主流になります。ドラマや映画のBGM、挿入歌を収録したアルバムをサウンドトラックと呼びますが、もとは上映方式のことでした。
(http://www.georgegroves.org.uk/jazzsinger.htmlより)
当時の観客の「スクリーンの人がしゃべった!」という驚きは相当なものだったようです。
古いユダヤの慣習を否定しきれないジェイキーの生き方や、黒人を滑稽に表現するミンストレル・ショーなど、劇中登場する要素は100年近く前の作品だけあって現代の感覚からはかけ離れたものも多いのですが、それが逆にとても面白い。冒頭は少年だったジェイキーが数年後にハゲ上がったおっさんに豹変するなど謎な部分も多い映画ではありますが、一見の価値はあります!頑張って探してください。
ちなみに有名なミュージカル映画「雨に唄えば」はそんな「ジャズ・シンガー」の公開により俳優人生の危機を感じたサイレント映画のスターたちが、逆転の発想でトーキーの波を乗り越えていくお話。見た目は可愛いのに声が不細工すぎてトーキー出演に難ありなおばさんが出てきます。この時代の雰囲気を少しはつかめるかもしれません。なんなら「ジャズ・シンガー」よりオススメしたいぐらい楽しいミュージカルです。
チャップリン不朽の名作「モダン・タイムス」 |
(http://www.impawards.com/1936/modern_times.htmlより)
モダン・タイムス(Modern Times)1936年/米国/87分
あらすじ
おそらく誰もが名前を聞いたことあるであろうチャールズ・チャップリンの代表作。歯車に巻き込まれてジタバタするチャップリンのビジュアルはあまりにも有名です。学校の教科書にも載っていますよね。実はこの場面、そのまま本作のテーマを表現しています。なんでも機械化が進み、人間さえもが文明を維持するための歯車になっていく。人間の尊厳なんてないし、生きる手ごたえを感じられない。そういう病んじゃった社会を痛烈に笑い飛ばしている作品なんです。80年経ってもブラック企業だなんだと騒いでるあたり人間まったく進歩がないわけですが、いまなお新鮮さを保ち続けるチャップリンの目の付け所にもビックリです。
ちなみに「ジャズ・シンガー」から10年が経ちトーキーが主流になる中で、チャップリンはこの映画をサイレントで撮っています。終盤に「ティティーナ」を歌う場面があり、彼が初めてスクリーンで肉声を披露した映画ではあるのですが、サイレントに対しては強いこだわりがあったみたいです。この3年後にはカラー撮影の「オズの魔法使い」が公開されていることを考えると結構な頑固さですよね。案の定、当時は時代遅れだと批判されていたようです。
さらにこの映画で有名なのがラストに流れる「スマイル」という曲です。チャップリンが自分で作曲しました。ナット・キング・コールが歌詞を付けたものが有名です。マイケル・ジャクソンやエルヴィス・コステロもカバーを発表し、長く親しまれる名曲になりました。浅田真央選手がソチオリンピックのエキシビジョンナンバーに採用していましたね!
カッコつけて「機械文明への痛烈な風刺である」なんて賢そうなこと言ってみたりもしましたが、単純にチョビ髭のオッサンがちょこちょこ動き回るだけで楽しいし、最後はさわやかで前向きな気持ちになれる素敵な映画です。一本ぐらいチャップリンの映画を観ておくのも悪くないと思いますよ!
名シーン&名セリフがたくさん「カサブランカ」 |
(http://www.impawards.com/1942/casablanca_ver2.htmlより)
カサブランカ(Casablanca)1942年/米国/102分
あらすじ
最後はハリウッド古典の傑作を紹介。今やキザなセリフの代名詞とも言える「君の瞳に乾杯(Here’s looking at you, kid.)」は本作の主人公リック(ハンフリー・”ボギー”・ボガート)がヒロインのイルザ(イングリッド・バーグマン)に向けて放つ言葉なんです!原文を見ればわかる通り「君の~」は直訳ではありません。洋画字幕界の第一人者、高瀬鎮夫の名訳です。デート中にこんなこと大真面目に言いだす男がいたらクサすぎて言われた方が恥ずかしくなっちゃいそうですが、元ネタのボギーは激渋なオジサマで、イルザが惚れたのも納得なわけです。
ほかにもこんな場面が有名です。どちらもおしゃれ!
“Play it, Sam”
リックと再会したイルザが昔を思い出してピアニストのサムに「時の過ぎ行くままに(As time goes by)」をリクエストする場面。もとは1931年上映のブロードウェイミュージカル「Everybody’s Welcome」の一曲ですが、この映画を機に世界的に有名になりました。センチメンタルなメロディに聴き惚れてしまいますね。ちょっと前にEXILE TAKAHIRO出演の洋服の青山のCMで流れていました。なので曲自体は知らなくても聴いたことある!って人は多いのではないでしょうか。
“La Marseillaise”
1942年という時代の事情、それから物語の舞台がヨーロッパ人がアメリカに亡命するための中継地点カサブランカであることもあり、反枢軸国的なプロパガンダ要素が全編に散りばめられているのも本作の興味深いところです。この場面では、リックの酒場で「ラインの守り」を歌うドイツ人の軍人たちに対抗し、店内の客たちが声をあわせて「ラ・マルセイエーズ」を歌っています。感動的ではあるけど、いま同じことをやったら批判されそうです。
ほかにも紹介した場面はあるけど…全部載せてしまっては見る意味も薄れてしまいそうなのでここで止めておきますね!言ってしまえば大人の男女の特に変わったところのないメロドラマなのですが、半世紀以上たっても愛され続けるのは、まったく無駄のない構成と圧倒的な個性を放つ主演の大スター二人のおかげでしょう。加えて、すこし陳腐にも思えるセリフやシチュエーションの数々をすんなり観客に受け入れさせてしまう、古典作品ならではの純粋で心地よい空気感が魅力的。レンタルビデオ店で見かけたらぜひ手に取ってほしい作品です。
以上、お手軽に観られる名作中の名作の映画を3本紹介しました。時間のあるときにたくさん映画を観て、お気に入りの一本を見つけるのもまた楽しいはず。僕の記事を読んだ皆さんの空き時間がすこしでも豊かなものになれば幸いです!