学生落語のチャンピオンが谷保に来ていたのでインタビューした!

橘亭カレーぱんさんの激動の半生に迫る!?


インフルから復活いたしました。噂のそうせきゅんです。

 

最近クソコラばかり書いてきたので、久々にアツい魂をこめて、素晴らしい方を紹介するインタビュー記事をお届けしようと思います。

 

 

1月8日に谷保でビッグイベントがあったことをご存知ですか?

 

 

 

Pro-Kさん主催の「第10回富士見台もちつき大会」です!

 

その中でステージ企画が予定されていましたが、成人式前日ということもあり、予定が空いていたのはなんと一橋落研の1人のみという状況に。弱小団体あるあるですね。

 

そこに現れた救世主、橘亭カレーぱんさん。

 

 

▲こちらがカレーぱんさん。陽気な一枚。 

 

カレーぱんさんは、東京経済大学落語研究会所属の3年生。この方、只者ではありません。

 

大学生落語の世界にはいくつか大会があり、中でも有名なのが2月の策伝大賞、そして8月のてんしき杯です。カレーぱんさんは2016年の「てんしき杯」のチャンピオン!さらに、関東にある大学の落語研究会がほとんど所属している「関東落研連合」の総長でもあります!

 

私は夏のてんしき杯を拝見したのですが、その衝撃はもう、筆舌に尽くしがたかったです。

某アニメで講釈しちゃったり、今までに聞いたこともないような狂気じみた展開だったり。キャラクター同士の掛け合いが常軌を逸してるのにどこかリアルっていう、いや、やっぱり言葉では表せないや。とにかくドキドキしちゃいました。

 

 

そんなカレーぱんさんがなぜ富士見台団地に!!!???

きっかけは、演者不足を嘆いたツイートでした。

 

 

 

「おれにまかせろ」ですって!?!?!?

映画のワンシーン級のセリフですね、かっこいい。

 

一橋周辺のお笑いの噂をひっそりと追い続けているそうせきゅん、この機会を逃すわけにはいきません!というわけで、カレーぱんさんに急遽インタビューを敢行いたしました!

 

 

きっかけはM-1グランプリ?漫才をやっていた高校時代。

 

――それでは、よろしくお願いします。

 

カレーぱんさん(以下略)「よろしくお願いします!」

 

――まずお名前を教えてください!

 

「高座名ですか? 橘亭カレーぱんです! 『ぱん』はひらがなです。」

 

――なんでその高座名になったんですか?

 

「僕は、高校時代に『劇団カレーパン』という名前で漫才をやっていて、そのまま持ってきた感じですね。」

 

 

▲高校生漫才師「劇団カレーパン」の頃の写真。 カレーぱんさん提供。

 

 ――漫才をやられていたんですね! その頃のお話から、今までの人生に迫っていきたいと思います。高校はどちらだったんですか?

 

「地元の鳥取県でしたね。」

 

――漫才をはじめたきっかけは何だったんですか?

 

「きっかけ……目立ちたかったからはじめました(笑)。 その後、『笑顔甲子園』という大会(※1)に出ました。その大会の第1回で優勝したのがパーマ大佐(※2)、準優勝が俺たちで、3位がたかまつなな(※3)だったんですよね。」

※1 高校生のお笑いコンテスト。

※2 太田プロ所属、森のくまさんの替え歌などで有名な芸人。

※3 慶應卒で東大大学院に通う、お嬢様ネタで有名な芸人。

 

――えー! 全員有名な方々じゃないですか!

 

「俺だけ落ちこぼれているんだよね(笑)。 で、第2回も俺は出て、その時は4位だったのかな。第3回はスタッフとして行ったんだけど、その時に今他大の落研に所属しているような人たちが出てたかな。」

 

――もともとお笑いに興味を持ったのはいつですか?

 

「興味を持ったのは中2の時かな……。M-1を見てかっこいいな、と思って。M-1大好きだよ、全部言えるもん!」

 

――確かにM-1はロマンですよね。じゃあ、落語より漫才などのお笑いの方がお好きなんですか?

 

「うーん、そうだね(笑)。 いや、そんなこともない! 今は同じぐらい!」

 

――最近おすすめの芸人さんはいますか?

 

「すごい最近爆笑したのは、M-1の時のマヂカルラブリー(※4)が面白かったかな。」

※4 よしもと所属の漫才コンビ。M-12016の敗者復活では11位だった。

 

 

1年間大阪で芸人を、大学ではフリーで落研活動。

 

――高校卒業後はどうされたんですか?

 

「1回現役で大学を受けたんだけどダメで、1年間大阪で芸人をして。」

 

――えー!? 1年間芸人をやられていたとは驚きです。

 

「いや~、辛かったな。何も芽が出ない。」

 

――お笑いの事務所に所属したり、養成所に通ったりしていたんですか?

 

「ずっとオーディション組でした。吉本のオーディションを受けてみたり。」

 

――その時の芸風はどのような感じだったんですか?

 

「その時は今関西大学の4年生の人とコンビを組んで、漫才……漫才みたいな感じのことをしていました。で、ちょっとだけ跳ねたんだけれど、でも全くダメだったからこのまんまではまずいと思って。それで、東京の大学に行こう!と思って東京農業大学に入りました。そこにお笑いサークルがないから落研に入って、相方も見つからなかったからとりあえず落語をはじめた感じですね。」

 

 

▲落語中のカレーぱんさん

 

――じゃあ、最初は落語をやるつもりはなかったんですね! 落語はすんなり受け入れられたんですか? 本当は漫才もやりたい、とかなかったんですか?

 

「そうだね。漫才はしたかったし、高校の時の劇団カレーパンの時の相方が今明治大学で落語をやっているから、今でも年に1~2回ぐらいはその相方とやってるけどね。うーん、なんで落語にしたんだろうな。」

 

――落語のどんなところが楽しいですか?

 

「楽しさは、何でも1人でやるから笑ってもらえたらすっきりするし、滑っても自分の責任なところかなぁ。とにかく自分のやりたいことができること。」

 

――今は東京経済大学に通っていらっしゃるんですよね。それまでの経緯はどういうものだったんですか?

 

「農大の落研は、色々あって1年生のこの時期(1月頭)には辞めていたかな。で、1年間はフリーで落語して(笑)。その後東経大に入って、落研に入りました。」

 

――フリーの間はどうやって活動なさっていたんですか?

 

「フリーの時は、色々な大学の落研の寄席を見に行ったり、文化祭でいうと青学、桜美林、東海のに出させてもらったり、色々出してもらった。あと、それこそ関落連(関東落研連合)で色々やっていたから、そういう所に出たりしていたのかな。」

 

 

 

みんな『カレーぱんが評価されるわけがない』って思ってた。みんな、見る目がない!

 

――続いて、カレーぱんさんの落語について詳しく伺っていきます。去年のてんしき杯では見事優勝されましたが、それまで大会ではどのような結果だったんですか?

 

「大会は、1年生の策伝から始まり、2年生のてんしき杯は0点だし、2年生の策伝もボロボロだし、去年のてんしき杯でやっと点数をとれたかな、ぐらいで。」

 

――そんなに急に勝ったんですね! じわじわのぼりつめた感じだと思っていました。

 

「いや、だから多分みんな『カレーぱんが評価されるわけがない』って思ってたよ。みんな言ってるもん。だから今は(関落連の)総長だけど、前の副総長からは『カレーぱんだけは総長はない』って言われてたし(笑)。」

 

――そうだったんですね!愛情の裏返しかもしれませんけどね(笑)。

 

「みんな、見る目がない! (笑)。見る目がないって言ったらあれだけど……。露骨に手を抜いて落語をしたりするんだ、いつも。自分が大事な寄席は、めっちゃ自分でネタを変えて練ったりしてやるんだけど、それ以外の寄席では手を抜いてうろ覚えの落語をしたりしていたから、その人が来ていた時にたまたまそういうところばかり見られていたのかもしれない。」

 

――な、なるほど(笑)。

 

「だから、全部自分のせいだけどね、それは。」

 

 

▲おそらく手を抜いていない時のカレーぱんさん 

 

――古典的な落語をやる方もいれば、改作する方もいますが、カレーぱんさんの落語は、結構元々ある噺を変えるようなスタイルですよね。原型がちゃんとあるのか……? ぐらいの。

 

「いや、あるあるある!(笑)。 結構残してやってるよ、俺は!」

 

――そうですか?

 

「まあ、そうだね……。だってさあ、そうでもしないと、大会って目立てないよ!!」

 

――「うまさ」って言われても、難しいですしね。

 

「『うまさ』だったら絶対に勝てない同期がいるし、じゃあ変えるしかないかな、ぐらいの感じ。」

 

――ポジショニングですね。このスタイルを確立されたのはいつ頃ですか?

 

「いつだろうね……2年生の9月ぐらいかな? 最初にてんしき杯でちょっとだけいじった落語、『しゃっくり政談』をやって、すべりはしなかったの。けど、0点だったからこれは良くないんだろうな、と思って。9月にあった関落連反逆者寄席って言うので『金名竹』を変えてやってみたかな。」

 

――去年のてんしき杯の決勝では、3本披露されましたよね。全部面白かったですが、個人的に印象に残っているのが3本目の「粗忽長屋」のアレンジでした。

 

「愛の粗忽長屋ね。(※5)」

 ※5 「粗忽長屋」は、浅草で身元不明の行き倒れを発見した八五郎が、それを友人の熊五郎だと勘違いし、行き倒れの元に連れて来られた熊五郎もそれを自分自身だと思い込んでしまうという落語。カレーぱんさんのバージョンでは、熊五郎と八五郎のゆがんだ愛が描かれた。

 

――あれは感動しました……!

 

「いや、感動しなくていいわ(笑)。あれ、でもね、最初の発想はジョー君(桜美林大学2年の地獄家羅刹さん)からなんだよ。キスするくだりをジョー君がくれたから、俺がそこから広げただけで。」

 

――結構、皆さんで協力してネタを作ったりするものなんですか?

 

「いや、ジョー君のヒトコトぐらい(笑)。」

 

――なるほど(笑)。普段の付き合いの中でポッとでてきた言葉から、バッと噺が広がったりする感じなんですね。

 

「うん、そうだね。多分そうだと思う。」

 

 

 

▲落研仲間との画像として提供いただいた2年生の10月の写真。中心左が羅刹さん。仲の良さと若干の不思議さが感じられる。

 

――ネタはどういう時に考えたり書いたりしているんですか?

 

「授業中とかに書いてる! 授業を聞かないで、ずーっと書いてる。」

 

――大学生なんてそういうものですよね(笑)。

 

「そうだね(笑)。本当に、出席取るためだけに学校行ってるし。」

 

――では、1番自分が影響を受けていると思うものはなんですか?

 

「あ!湊かなえの小説かなって思ったり。あの小説の構成は気持ちいいね。」

 

――落語ではどういう噺がお好きなんですか?1番好きな噺を教えてください。

 

「一番好きな噺は1つには絞れないけど、『そば清』、『田能久』、『死ぬなら今』とかの考えオチ(※6)って言うやつなのかな……。おお! ってなるやつ。」

※6 落語のオチの中で、少し考えてはじめて理解できるような種類のオチのこと。

 

――それでは最後に、カレーぱんさんにとって学生落語とは何ですか?

 

「自分にとって学生落語とは、プロじゃないから好き勝手やらせてもらえる、人前で普段自分が考えてるしょうもないことや不謹慎なことを言っても怒られない時間です。」

 

――ありがとうございました!

 

 


 

高校時代のお話から、落語論的なお話まで……カレーぱんさんの半生に迫ることができた貴重なインタビューでした。感無量です。

芸人をしてみたり、フリーで寄席に出たり、しれっと優勝してしまったり……超人的で、見えない壁をぶっ壊してく天賦の才能を感じました。表現者ってかっこいいんじゃー!!!落語の楽しさについてのコメントも、漫才を経験されていたからこそのリアルな視点で印象的でした。

ファンの皆様にはおなじみの内容も多かったかもしれませんが、少しでもムフフフフ!な記事になっていれば幸いです。

 

また、「大学生の落語ってなんだか面白そうだぞ?」と思ってくださった方、是非、マジで、ガチで、寄席に来てみてください。生で味わってください。1回見たら本当に引き込まれるから。

 

近々開催されるのは、2月4日土曜日開催の「らくご東西合戦」です。

カレーぱんさんをはじめ、今大学生落語の中でも特にアツいメンバーが集結します!

しかも関東勢に限らず、関西勢まで見れちゃうという貴重すぎる会。

 

 

 

今は皆さんレポートやテスト勉強に追われているかもしれませんが、もうすぐ春休みです!

大学生落語の大会「策伝大賞」や、学生お笑いの大会「NOROSHI」などイベントが目白押しですよ!

是非1度、足をはこんでみてくださいましまし!

 

 

 

P.S.

緊張しすぎたので、インタビュー中の写真を撮り忘れてしまいました。ライターとしてあるまじき行為ですね。

「関落連 代替わり寄席」のツイッター(@7ifzaDhM9Dp0VgW)から写真を拝借しております(All Photo by ぴー助さん、芸兄さん)。カレーぱんさんからも写真をご提供いただきました。ありがとうございました。